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施工体制台帳・施工体系図とは?作成義務が生じる下請5,000万円の条件を解説

施工体制台帳・施工体系図とは

施工体制台帳とは、発注者から直接工事を請け負った元請業者が、その工事に関わる下請業者の商号・工事内容・工期・配置技術者などを一覧にまとめ、工事現場ごとに備え置く書類のことです。あわせて作成する施工体系図とは、その工事に入っているすべての業者の施工の分担関係をツリー状に表示し、現場の見やすい場所に掲げる図面のことです。いずれも建設業法第24条の8に定められた元請負人の義務で、下請が二次・三次と重なるなかで「どの工程を、どの会社の、誰が担っているのか」が曖昧になることを防ぐために設けられています。

なぜ重要なのか

作成義務がある工事で台帳や体系図を作っていない場合、建設業法第28条第1項に基づく指示処分の対象となります。同項には、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(以下「入札契約適正化法」)第15条第1項の規定により読み替えて適用される第24条の8第1項・第2項・第4項を含む、と明記されています。指示に従わなければ営業停止処分に進むこともあり、公共工事では指名停止や入札参加資格への影響も避けられません。

実務上の意味も大きく、事故が起きたとき「その時間にどの業者の誰が作業していたか」を示せる資料は、台帳とその添付書類しかないことが少なくありません。下請の許可や保険加入状況を集める作業はグリーンファイル(安全書類)の整備と重なるため、まとめて社内の型にしておくと負担が下がります。体制づくりの考え方は建設業の方へでも整理しています。

対象となる範囲・条件

民間工事の場合、対象は「発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者」で、その工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の総額が政令で定める金額以上になるときです(建設業法第24条の8第1項)。その金額は建設業法施行令第7条の4に定められており、国土交通省中部地方整備局が令和7年2月に公表した資料では5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)と示されています。

この金額は以前と変わっています。国土交通省が令和6年12月6日に発表した「建設業法施行令及び国立大学法人法施行令の一部を改正する政令」により、令和7年2月1日から施工体制台帳の作成が必要となる下請代金の総額は4,500万円から5,000万円へ、建築一式工事は7,000万円から8,000万円へ引き上げられました。同じ改正で監理技術者等の専任を要する請負代金の額も4,000万円から4,500万円に見直されています。古い社内マニュアルのままだと基準を取り違えます。

一方、公共工事は金額基準がありません。入札契約適正化法第15条により、下請契約の額にかかわらず台帳を作成し、その写しを発注者に提出する必要があるとされています(建設キャリアアップシステムを活用する場合など、写しの提出が不要となる扱いも示されています)。なお下請総額が5,000万円以上になる工事は特定建設業許可が前提となるため、許可の区分そのものの確認も欠かせません。区分は建設業許可の29業種の記事で整理しています。

手続き・実務の流れ

段階やること根拠
契約時下請契約の総額見込みを集計し、5,000万円(建築一式8,000万円)以上になるか判定する。公共工事は金額を問わず対象法第24条の8第1項/施行令第7条の4/入札契約適正化法第15条
着工前下請から許可の内容、健康保険等の加入状況、配置技術者、外国人材の状況などを集めて台帳を作成し、現場に備え置く法第24条の8第1項/施行規則第14条の2
着工前施工体系図を掲示する。民間工事は工事現場の見やすい場所、公共工事は工事関係者が見やすい場所および公衆が見やすい場所法第24条の8第4項/入札契約適正化法第15条
施工中下請が再下請負に出した場合は再下請負通知書を受け取り、台帳と体系図に反映する法第24条の8第2項/施行規則第14条の4
施工中発注者から請求があったときは台帳を閲覧に供する法第24条の8第3項
引渡し後備え置きは目的物を引き渡すまで。その後は営業に関する図書として5年間保存する法第40条の3

ここで出てくる再下請負通知書とは、一次下請以下の業者が工事の一部をさらに別の業者に請け負わせたとき、元請の特定建設業者に対して、その業者の商号・工事内容・工期などを書面で知らせる通知のことです。これが上がってこないと台帳は実態と合いません。注文書を交わす段階で取り決めておくのが確実です。

よくある誤解

「基準は4,500万円」と思われがちですが、実際は令和7年2月1日以降は5,000万円(建築一式工事は8,000万円)です。社内の判定表を改正時点で更新しているかどうかが分かれ目になります。

「一次下請までを書けば足りる」と思われがちですが、実際は再下請負通知を通じて二次・三次以下も記載する仕組みです。孫請の把握が漏れると、体系図に載っていない作業員が現場にいる状態になります。一人親方に発注している場合の労災の扱いは一人親方の労災特別加入の記事も参考になります。

「一度作れば終わり」と思われがちですが、実際は下請の追加、工期の変更、技術者の交代があるたびに更新が必要です。着工時の内容のまま現場に置かれている台帳は、実態と一致しない書類になってしまいます。

経営者が確認したい3つのポイント

□ 下請契約の総額を誰がいつ集計しているか
注文書・下請契約書を工事ごとに合算し、5,000万円(建築一式8,000万円)に届くかを判定する担当者と締め切りが決まっているかを確認します。追加変更契約の分を足し忘れ、気づかず基準を超えているケースが起こりがちです。

□ 施工体系図の掲示場所が工事の種別に合っているか
公共工事では工事関係者が見やすい場所に加え、公衆が見やすい場所への掲示が必要とされています。現場写真で掲示状況を残しているかも確認します。

□ 引渡し後の保存ルールが社内で決まっているか
現場備え置きは引渡しまで、その後は営業に関する図書として5年間の保存が求められます。誰がどこに保管するかを決めておかないと、数年後の行政の確認や紛争時に出てきません。

よくある質問

Q. 一般建設業許可の会社でも施工体制台帳を作る必要がありますか

A. 民間工事で作成義務が生じる規模は、下請契約の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)です。この規模の下請契約を結ぶには特定建設業許可が必要とされているため、一般建設業許可のままその規模で発注していないかを先に確認する必要があります。公共工事は許可の区分にかかわらず、下請契約があれば対象です。

Q. 下請を使わず自社施工だけの工事でも必要ですか

A. 施工体制台帳は下請契約を締結した場合の義務です。下請契約がまったくない自社施工のみの工事であれば、公共工事であっても作成義務は生じないと整理されています。ただし一部でも外部に発注すれば対象になりますので、資材の購入か工事の請負かの見極めが必要です。

Q. 工事の途中で下請業者が増えたときはどうすればよいですか

A. 台帳に追記し、施工体系図も書き換えて掲示し直します。作成時点の情報を残す書類ではなく、現場の状況に合わせて最新の状態に保つ書類だと考えてください。再下請負通知書を受け取ったときも同様です。

Q. 工事が終わったあと、いつまで保存すればよいですか

A. 現場への備え置きは目的物を発注者に引き渡すまでの期間で、その後は営業に関する図書として5年間保存することとされています(建設業法第40条の3)。後に施工範囲が争点になったときに参照されるため、工事単位でまとめて保管しておくと探す手間が減ります。

まとめ

施工体制台帳と施工体系図は、建設業法第24条の8に基づく元請の義務です。民間工事は下請契約の総額5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)、公共工事は金額にかかわらず対象で、この金額は令和7年2月1日の施行令改正で引き上げられました。未作成や実態との不一致は指示処分の対象となり、公共工事では受注そのものに影響します。自社の判定基準が改正後の金額に更新されているか、確認してみてはいかがでしょうか。

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出典

本記事は建設業に関わる一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の保険会社または保険商品の推奨・勧誘を目的とするものではありません。制度・法令の内容は掲載時点のものです。実際の適用は個別の事情により異なりますので、詳細は所管官庁または専門家にご確認ください。当社の勧誘方針はこちらをご覧ください。

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