建設業の物価高倒産が前年の3倍に──自社の価格転嫁と資金繰りを今すぐ確認を

はじめに

報道によると、2026年4月に資材・エネルギー価格の高騰を主因とする建設業の倒産件数が前年同月の約3倍に急増しました。また、2025年度の建設業倒産は2,041件と過去10年で最多を記録しています。

何が起きたのか

現時点で公表されている情報では、2026年4月に物価高を主因とする全業種の倒産は85件(前年同月の1.5倍)に達し、そのうち建設業は21件と3倍超に急増しました。2025年度の建設業倒産2,041件のうち、負債5,000万円未満の小規模倒産が全体の62%超を占めており、一次・二次下請けを中心とした中小業者への影響が特に深刻な状況です。

中小建設会社への影響

建設業における価格転嫁率は42.1%にとどまっているとされており、コスト上昇分の半分以上を自社で吸収している実態が浮かび上がります。また、2026年度は賃上げに伴う社会保険料負担増も加わることから、夏以降に資金繰りが悪化する事業者が増えるとの見方も出ています。売上が維持できていても、収益が圧迫されている会社は少なくないとみられます。

経営者が確認したい3つのポイント

価格転嫁の状況を数字で確認する
資材費・人件費がどれだけ上昇したか、そのうち何割を受注単価に反映できているかを直近の工事ごとに確認してください。「なんとなく利益が薄くなった」という感覚を、具体的な数字で把握することが第一歩です。

手元資金と月次キャッシュフローを把握する
売上があっても、支払いサイクルのずれで資金ショートが起きるのが建設業の特性です。現時点での手元資金が何カ月分の固定費に相当するか、試算してみることをお勧めします。

社会保険料負担の増加額を試算する
2026年度は賃上げに伴い、社会保険料の事業主負担も増加します。月次の人件費総額(賃金+法定福利費)が昨年と比べてどれだけ変わったか、確認しておくと資金計画の精度が上がります。

まとめ

物価高の影響は「どこか大きな会社の話」ではありません。自社の価格転嫁状況と資金繰りを、今一度確認してみてはいかがでしょうか。

建設業が中部3県の倒産ワースト業種に──件数より”負債額6割増”が示す経営リスク

はじめに

報道によると、東京商工リサーチ名古屋支社が2026年6月3日に発表したデータでは、中部3県(愛知・岐阜・三重)の2026年5月の倒産件数(負債総額1,000万円以上)は前年同月比4%減の65件となりました。しかし業種別では建設業が18件と最多業種となっています。

何が起きたのか

現時点で公表されている情報では、2026年5月の中部3県全体の倒産件数は3カ月連続で前年を下回り、数のうえでは落ち着きを見せています。一方で、負債総額は217億9,500万円と前年同月比58%増と大幅に膨らんでいます。建設業が件数で全業種のトップとなり、1件あたりの規模が大きい倒産が増えていることがデータから読み取れます。

中小建設会社への影響

件数が減少しているからといって、建設業の経営環境が改善したとは言い切れません。注目すべきは負債額の急増です。これは、規模の大きな会社でも経営破綻に至るケースが出ていることを意味します。資材費・人件費の上昇が続くなか、受注価格への転嫁が追いつかない中小建設会社では、じわじわと体力を削られているケースが少なくありません。

経営者が確認したい3つのポイント

受注単価は原価上昇に追いついているか
労務費・資材費の上昇に合わせて、見積もりや受注価格を見直していますか。2025年12月に全面施行された改正建設業法では「著しく低い労務費での契約禁止」が明文化されました。適正単価での受注体制を改めて確認する機会です。

半年先の資金繰り見通しを立てているか
倒産の多くは赤字より「資金ショート」が引き金になります。受注量が増えているときほど、入金・出金のタイミングのずれに注意が必要です。半年先まで見通した資金繰り表を定期的に更新する習慣が、リスクの早期察知につながります。

協力会社・外注先の状況を把握できているか
取引先の建設会社が倒産した場合、工事が途中で止まるリスクが生じます。普段からコミュニケーションを取り、複数の協力先を確保しておくことが、工期リスクを軽減する備えになります。

まとめ

件数の減少に安心せず、負債額の増加が示すリスクに目を向けることが大切です。自社の受注単価・資金繰り・外注先の状況を、この機会に確認してみてはいかがでしょうか。

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