📞 052-901-3700 平日 9:00〜17:30

建設業許可の29業種とは?一式工事と専門工事の違いを中小建設会社向けに解説

建設業許可の29業種とは

建設業許可の29業種とは、建設業法別表第一に定められた建設工事の種類の区分のことで、土木一式工事と建築一式工事という2つの「一式工事」と、大工工事や電気工事など27の「専門工事」を合わせた29種類をいいます。建設業法第3条第2項は、許可を「別表第一の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに」与えると定めており、許可は会社単位ではなく業種単位で受ける仕組みになっています。自社がどの業種の許可を持ち、どこまでの工事を請け負えるのかを取り違えると、無許可営業や監督処分につながります。29業種は昭和46年に制定された区分に由来し、平成28年6月1日に解体工事業が新設されて28業種から29業種になりました。

なぜ重要なのか

業種の判断を誤ると、そのまま法令違反になります。建設業法第3条第1項の許可を受けずに建設業を営んだ場合、同法第47条第1項第1号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されうると定められています。刑事罰に至らなくても、許可行政庁による指示処分や営業停止処分の対象となり、公共工事の指名停止に波及することもあります。

実務上より起きやすいのは、「専門工事の許可を持っていないのに、その工事を単独で受注してしまう」という事態です。元請から施工体制台帳や許可証の写しを求められた段階で発覚し、契約を取り消される、あるいは次年度から取引が止まるという形で、受注そのものを失います。許可業種の構成は経営事項審査(経審)の完成工事高の計上区分にも直結するため、業種の整理は入札参加資格の土台でもあります。

対象となる範囲・条件

まず、許可が必要になる金額の線引きです。建設業法施行令第1条の2が定める「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、許可がなくても営業できます。具体的には、建築一式工事は1件の請負代金が1,500万円未満の工事、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事、建築一式工事以外は1件の請負代金が500万円未満の工事です。ここでいう「木造」は建築基準法第2条第5号の主要構造部が木造であるもの、「住宅」は延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するものを指します。金額には消費税および地方消費税を含みます。

許可の区分は3つの軸で決まります。1つ目は営業所の所在地で、2以上の都道府県に営業所を設けるなら国土交通大臣許可、1つの都道府県内のみなら知事許可です。2つ目は下請契約の規模で、元請として1件につき5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上の下請契約を締結する場合は特定建設業の許可が必要です。この金額は令和7年2月1日から、従来の4,500万円(建築工事業7,000万円)より引き上げられています。3つ目が業種で、営業しようとする業種ごとに取得し、追加取得もできます。許可の有効期間は5年で、満了の30日前までに更新申請が必要です。

29業種の一覧と実務の流れ

29業種は次のとおりです。

区分業種
一式工事(2)土木一式工事/建築一式工事
専門工事(27)大工/左官/とび・土工・コンクリート/石/屋根/電気/管/タイル・れんが・ブロック/鋼構造物/鉄筋/舗装/しゅんせつ/板金/ガラス/塗装/防水/内装仕上/機械器具設置/熱絶縁/電気通信/造園/さく井/建具/水道施設/消防施設/清掃施設/解体

自社の業種を判断する手順は、(1)実際に請け負っている工事の内容を洗い出す、(2)昭和47年3月8日建設省告示第350号が定める各業種の「建設工事の内容」と、建設業許可事務ガイドラインの「例示」「区分の考え方」に照らす、(3)判断に迷う工事は許可行政庁(知事許可なら都道府県の建設業担当課)に事前相談する、という流れになります。区分の考え方には具体例が示されており、たとえば屋根一体型の太陽光パネル設置工事は屋根工事、太陽光発電設備の設置工事は電気工事とされています。鉄骨は、製作・加工から組立てまで一貫して請け負えば鋼構造物工事、加工済みの鉄骨を現場で組み立てるだけならとび・土工・コンクリート工事です。申請は業種追加として行い、業種ごとに専任技術者を営業所に置く必要があります。

よくある誤解

誤解1:建築一式工事の許可があれば、どんな工事でも請け負える。そう思われがちですが、実際は違います。許可は業種ごとに与えられるため(法第3条第2項)、たとえば内装仕上工事だけを500万円以上で単独受注するなら、内装仕上工事業の許可が別に必要と整理されています。一式工事は、総合的な企画・指導・調整のもとに土木工作物や建築物を建設する工事を指す区分です。

誤解2:契約を分ければ500万円未満に収まる。これも誤りです。建設業許可事務ガイドラインは、同一の建設業を営む者が工事の完成を2以上の契約に分割して請け負うときは、正当な理由に基づく分割を除き、各契約の請負代金の合計額で判断すると示しています。注文者が材料を提供する場合は、その市場価格(および運送費)を加えた額で判断します。

誤解3:附帯工事なら何でも一緒にできる。建設業法第4条は、許可を受けた建設業に「附帯する」他の建設業に係る工事を請け負えると定めていますが、附帯工事とは主たる工事に必要を生じた従たる工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されないものとされています。独立して発注できる規模・内容の工事は、附帯工事には当たらないと整理されています。

経営者が確認したい3つのポイント

□ 許可通知書に記載された業種と、直近1年の受注実態が一致しているか
工事経歴書と請負契約書を並べ、500万円(税込)以上の工事について、許可を持たない業種で単独受注したものがないかを、経理担当と現場責任者の双方で確認します。

□ 専任技術者の退職・異動で、許可要件が欠けていないか
業種ごとに営業所へ専任技術者を置く必要があります。人事異動の都度、総務担当が専任技術者証明書の登録内容と現況を突き合わせ、変更届の要否を確認します。

□ 許可の有効期間の満了日を、社内で誰が管理しているか
有効期間は5年で、満了の30日前までに更新申請が必要です。許可通知書の日付をカレンダーに登録し、6か月前に着手する担当者を決めておきます。

よくある質問

Q. 500万円未満の工事しか受けていなければ、許可は不要ですか。

A. 建設業法施行令第1条の2の「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、許可がなくても営業できるとされています。ただし金額は税込で判断し、分割契約は合計額で見ます。また元請が取引条件として許可を求める場合も多く、実務上は取得しているケースが一般的です。

Q. 解体工事は、とび・土工工事業の許可で施工できますか。

A. できません。解体工事業は平成28年6月1日に新設され、とび・土工工事業の許可で解体工事を営めるとする経過措置は平成31年5月31日で終了しました。令和元年6月1日以降、軽微な建設工事に当たらない解体工事を請け負うには解体工事業の許可が必要です。

Q. 業種はいくつまで取得できますか。

A. 上限はなく、29業種すべてを取得することも制度上は可能です。ただし業種ごとに専任技術者などの要件を満たす必要があり、実態のない業種を並べても経審や入札で有利になるわけではありません。受注実態に合わせて選ぶのが基本です。

Q. 一般建設業から特定建設業に切り替えるのはどんなときですか。

A. 元請として1件の工事につき、下請契約の総額が5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上になる場合です。令和7年2月1日にこの金額が引き上げられたため、従来の基準で判断していると過不足が生じます。下請として施工する場合にこの制限はかかりません。

まとめ

建設業許可は2つの一式工事と27の専門工事、計29業種ごとに与えられます。一式工事の許可があっても、専門工事を単独で請け負うにはその業種の許可が要ります。金額の線引きは税込500万円(建築一式は1,500万円等)で、分割契約は合計額で判断されます。自社の許可業種と受注実態がずれていないか、この機会に確認してみてはいかがでしょうか。法人リスクマネジメントの観点でも、許可の管理は事業継続の前提になります。

あわせて読みたい

出典

本記事は建設業に関わる一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の保険会社または保険商品の推奨・勧誘を目的とするものではありません。制度・法令の内容は掲載時点のものです。実際の適用は個別の事情により異なりますので、詳細は所管官庁または専門家にご確認ください。当社の勧誘方針はこちらをご覧ください。

^