📞 052-901-3700 平日 9:00〜17:30

建設リサイクル一斉パトロールが10月実施──解体80㎡以上の届出は済んでいますか

はじめに

国土交通省の報道発表(令和8年9月30日)によると、建設リサイクル全国一斉パトロールが令和8年10月頃から11月頃にかけて実施されます。10月の3R推進月間に合わせ、都道府県や特定行政庁が解体・改修工事の現場に立ち入り、分別解体等の実施状況を確認するものです。前年度は約4,900現場が立入りの対象となりました。この記事では、何が確認されるのか、自社のどの工事が対象になるのか、受検前に整えておきたい書類は何かを整理します。

何が起きたのか

現時点で公表されている情報では、パトロールは各都道府県および特定行政庁の建設リサイクル法担当部局と環境部局が中心となって行われ、都道府県労働局の労働基準監督署、地方出入国在留管理官署との合同で実施される場合があるとされています。実施時期は自治体によって異なります。

前年度(令和7年10月)の実施結果として、立入件数4,919現場に対し、建設リサイクル法関連の指導等が374件あったことが公表されています。内訳は標識掲示310件、分別解体18件、無届工事6件、事前措置10件、その他30件です。指導等の8割以上が標識掲示に関するもので、現場の掲示物の不備が最も多く指摘されている状況がうかがえます。

愛知県内でも実施されています。春日井市は、令和7年度に6月23日と10月6日の2回、尾張県民事務所および名古屋北労働基準監督署と連携して建設現場に立ち入り、コンクリート・木材・アスファルトが適正に分別・再資源化されているかを調査したと公表しています。

【用語解説】建設リサイクル法・特定建設資材とは

建設リサイクル法とは、正式名称を「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」といい、一定規模以上の建設工事について、分別解体等と再資源化等を義務づける法律のことです。平成12年に公布されました。

特定建設資材とは、再資源化が特に必要なものとして政令で定められた建設資材のことです。コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの4品目が該当します。

分別解体等とは、建築物等を解体する際に、特定建設資材を種類ごとに分別しながら計画的に取り壊す施工方法のことです。まとめて取り壊してから選別するのではなく、工事の過程で分けていくことが求められる点が特徴です。

関連する法令・制度

対象建設工事に該当するのは、工事の種類ごとに次の規模以上の工事とされています。建築物の解体工事は床面積の合計80平方メートル以上、建築物の新築・増築は床面積の合計500平方メートル以上、建築物の修繕・模様替は請負代金の額1億円以上、その他の工作物に関する工事(土木工事等)は請負代金の額500万円以上です。

対象建設工事に該当する場合、発注者は工事に着手する日の7日前までに、分別解体等の計画を都道府県知事(名古屋市など事務を処理する市では市長)に届け出ることとされています。元請業者には、法第12条第1項により、発注者に対して建築物等の構造、工事着手時期、分別解体等の計画等について書面を交付して説明する義務があります。無届出や虚偽の届出、解体工事業の無登録営業については、法第48条から第51条に罰則が定められています。

あわせて、令和8年1月1日以降に着工する工事からは、建築物以外の工作物の石綿事前調査について、有資格者による実施が義務づけられると整理されています。今回のパトロールでも、石綿障害予防規則をはじめとする関連法令の遵守状況が確認事項に含まれるとされています。

中小建設会社への影響

第一に、立入りの対象は大規模工事に限られません。床面積80平方メートル以上の解体工事は、木造の一般住宅でも該当する規模です。土木工事等も請負代金500万円以上が基準ですから、日常的に請け負う工事の多くが対象建設工事になり得ます。

第二に、最も指摘が多い標識掲示は、現場に立ち入れば数分で分かる項目です。建設業の許可票や解体工事業者登録票、届出済シールの掲示漏れは、行政だけでなく発注者や近隣の目にも触れます。元請の立場であれば、下請業者の掲示状況まで含めて確認されることになります。許可業種と掲示内容の対応については建設業許可の29業種とは?一式工事と専門工事の違いで整理しています。

第三に、労働基準監督署などとの合同実施では、建設リサイクル法以外の事項を指摘される可能性があります。特に工作物の石綿事前調査の有資格者義務化は令和8年1月1日着工分からの適用で、準備が間に合っていない会社も想定されます。近隣への配慮という観点では公衆災害とは?仮囲い1.8m・歩行者通路0.9mの基準も合わせて確認しておきたいところです。

経営者が確認したい3つのポイント

□ 進行中の工事が対象建設工事に該当するか、工事台帳で規模を確認する
床面積80平方メートル以上の解体工事、請負代金500万円以上の土木工事等が目安です。該当する工事について、発注者名義の届出が受理されているか、届出書の控えを現場担当者が保管しているかを工事ごとに確認します。

□ 現場の掲示物を写真で点検し、記録を残す
建設業の許可票または解体工事業者登録票、建設リサイクル法の届出済シール、労災保険関係成立票などが見やすい場所に掲示されているかを、現場ごとに写真で記録します。前年度の指導等の大半が掲示に関するものでした。

□ 石綿事前調査の有資格者体制が整っているかを年内に確認する
令和8年1月1日以降に着工する工事から、工作物の事前調査に有資格者が必要とされています。自社に有資格者がいるか、いない場合に外部へ委託する手配ができているかを、工事部門の責任者に確認します。

よくある質問

Q. 自社は下請ですが、パトロールの対象になりますか

A. パトロールは工事現場への立入りという形で行われるため、元請・下請を問わず、現場で作業している会社が確認の対象となり得ます。届出義務は発注者、発注者への説明義務は元請業者にありますが、分別解体等を実際に施工するのは現場の各社です。自社の作業範囲について分別の方法を確認しておくことが実務的といえます。

Q. 届出は発注者が行うとのことですが、元請が代行してもよいのでしょうか

A. 届出義務は発注者にありますが、実務では元請業者が発注者から委任を受けて代行する例が一般的とされています。その場合も届出の名義は発注者であり、委任状が必要になります。自社が代行している工事について、委任状と届出書の控えが揃っているかを確認してください。

Q. 指導を受けた場合、すぐに罰則が科されるのでしょうか

A. 国土交通省が公表しているのは「指導等」の件数であり、現場での指導や是正の求めが中心とされています。一方で建設リサイクル法には命令や罰則の規定があり(法第48条から第51条)、是正に応じない場合の措置は別に定められています。指摘を受けた場合は内容を記録し、是正結果を社内で共有しておくことが望ましいといえます。

まとめ

報道発表によると、建設リサイクル全国一斉パトロールは令和8年10月頃から11月頃に実施されます。前年度の指導等の大半は標識掲示という、準備しておけば防げる項目でした。進行中の現場で掲示物と届出書の控えが揃っているか、自社ではどうか確認してみてはいかがでしょうか。

あわせて読みたい

出典

本記事は建設業に関わる一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の保険会社または保険商品の推奨・勧誘を目的とするものではありません。制度・法令の内容は掲載時点のものです。実際の適用は個別の事情により異なりますので、詳細は所管官庁または専門家にご確認ください。当社の勧誘方針はこちらをご覧ください。

^