はじめに
報道によると、8月上旬、兵庫県姫路市の住宅新築工事現場で作業員2名が感電したとみられ、心肺停止の状態で搬送された後に死亡が確認されました。現時点で公表されている情報では、作業用クレーンのアームが上空の架空電線に接触していたとされています。
何が起きたのか
報道によると、現場では男性1名が金属製の足場にもたれて意識を失っており、様子を確認しようと近づいた別の男性も倒れたとされています。2人が倒れる直前に、作業用クレーンのアームが電線に触れていたとの情報があります。感電は、機械や足場を通じて電気が伝わり、直接触れていなくても被害が広がる場合があります。原因や責任の所在を現時点で断定できる状況ではありません。
中小建設会社への影響
架空電線への接触は、感電による人身被害だけでなく、断線による周辺の停電や設備の損傷といった第三者への影響につながる可能性があります。停電や損害が生じれば、近隣対応・賠償・工事の中断・信用の低下など経営面の負担も大きくなりかねません。日常的にクレーンや高所作業を行う会社ほど、電線との距離管理を現場任せにしていないか、改めて見直す価値があります。
経営者が確認したい3つのポイント
□ 作業前の架空電線・高圧線の確認
現場周辺の電線の位置と種類(高圧か低圧か)を事前に把握し、作業計画に反映できているか。
□ クレーン・重機と電線の離隔距離の管理
電力会社への事前連絡、防護管(絶縁カバー)の設置、監視員の配置など、電線との距離を保つ手順が決まっているか。
□ 感電時の対応手順の周知
感電した人に不用意に触れると二次被害が起きること、まず電源や接触の遮断と通報を行うことを、作業員に共有できているか。
法令で定められている感電防止の措置
架空電線の近くで移動式クレーンなどを使う作業について、労働安全衛生規則第349条は、感電の危険が生じるおそれがあるとき、事業者が次のいずれかの措置を講じるよう定めています。
- 充電電路を移設する
- 感電の危険を防止するための囲いを設ける
- 充電電路に絶縁用防護具を装着する
- 上の3つが著しく困難なときは、監視人を置いて作業を監視させる
実務では、まず電力会社に防護管の取り付けや停電での作業を相談し、それでも残る危険を監視人の配置で補う、という順番で検討するのが基本です。
クレーンと電線の離隔距離の目安
厚生労働省の通達(昭和50年12月17日 基発第759号)は、移動式クレーン等の機体やワイヤロープと送配電線との間に保つ距離の目安を次のように示しています。
| 電路の電圧 | 離隔距離の目安 |
|---|---|
| 低圧 | 1m |
| 高圧 | 1.2m |
| 特別高圧 | 2m(60,000V以上は10,000Vごとに20cmを加算) |
同じ通達は、作業を的確に指揮できる監視責任者の配置、電力会社との事前の打ち合わせ、作業者への安全教育もあわせて求めています。
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まとめ
感電は一瞬で複数名に被害が及ぶことがあります。自社の電線近接作業の手順を、改めて確認してみてはいかがでしょうか。
