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経審の見直し議論が国交省で始動──再審査の申立期限は10月28日

はじめに

報道によると、国土交通省は2026年9月17日、建設会社の評価のあり方を議論する「企業評価ワーキンググループ」の初会合を開きました。経営事項審査(経審)を含む現行制度の検証が始まっています。その一方で足元では、令和8年7月1日に施行された経審の審査基準改正に伴う再審査の申立てが、10月下旬に期限を迎えます。この記事では、始まった議論の中身と、期限までに中小建設会社が確認しておきたい実務を整理します。

何が起きたのか

現時点で公表されている情報では、このワーキンググループは、令和8年7月9日に第1回会合を開いた「持続的な成長産業としての建設業のあり方に関する検討会」の下に置かれたものです。9月17日の初会合では、処遇改善や生産性向上に取り組む企業が市場で選ばれる環境をどう整えるかが論点となりました。報道によると、委員からは「(経審のX、Y、Z、Wの)4要素を合計して点数化することに限界がきている」という指摘や、小規模企業については非財務情報を重視する仕組みを検討すべきだという意見が出たとされています。全国の建設業許可業者数は令和8年3月末時点で483,823業者(国土交通省「建設業許可業者数調査」、前年度末比123業者増で3年連続の増加)で、この規模の事業者を共通の物差しでどう評価するかが課題として挙げられました。事務局は2026年度内に方向性をまとめる考えを示しています。

【用語解説】経営事項審査・総合評定値・再審査の申立てとは

経営事項審査(経審)とは、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受けなければならない、経営規模や経営状況などについての客観的な審査のことです。総合評定値(P点)とは、経審の結果を一つの点数にまとめた数値のことです。愛知県の案内では「総合評定値(P)=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W」という式で算出されると説明されています。X1は工事種類別の年間平均完成工事高、X2は自己資本額および利益額、Yは経営状況、Zは技術職員数および元請完成工事高、Wは労働福祉・営業年数・防災活動・法令遵守などの社会性等を表します。再審査の申立てとは、経営規模等評価の結果に異議がある場合などに、審査を行った行政庁へ評価のやり直しを求める手続きのことです。

関連する法令・制度

経審の根拠は建設業法第27条の23です。審査を受ける必要があるのは公共性のある施設・工作物に関する工事のうち政令で定めるものを直接請け負う場合で、愛知県の案内では、建築一式工事は1,500万円未満、その他の工事は500万円未満(いずれも消費税および地方消費税を含む)の工事が対象から除かれると整理されています。結果通知書が公共工事の受注に使えるのは、審査基準日から起算して1年7か月後の日までです。令和8年7月1日には審査基準が改正され、W点の評価項目に「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無が新設されたほか、建設機械の保有状況の対象に不整地運搬車とアスファルト・フィニッシャが追加され、雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入の有無を評価する項目は廃止されました。なお社会保険への加入は建設業許可の要件であり、加入義務そのものが変わったわけではないと案内されています。

中小建設会社への影響

今回の見直し議論によって、すぐに自社の評点が動くわけではありません。ただ、中小建設会社にとって意味が大きい点が2つあります。第一に、評価の軸が完成工事高や技術職員数といった「規模」の指標から、処遇改善・生産性投資・法令遵守といった「取り組み」の指標へ広がる方向で議論されている点です。W点の考え方は近年も見直しが続いており、加点項目の中身は経審のW点(社会性等)とは?加点項目一覧と令和8年7月改正の要点を解説で整理しています。第二に、足元の実務として、令和8年7月1日の改正に伴う再審査の申立てに期限がある点です。国土交通省近畿地方整備局は、この申立期間を令和8年7月1日から令和8年10月28日までと案内しています。改正前の基準で結果通知を受けている会社が、新設された加点項目に該当していても、この期間を過ぎれば次回の審査まで反映されないことになります。なお中部地方整備局は、経審の書類到達から結果通知まで概ね1か月から1か月半、申請が集中する時期は2か月程度を要するとしています。

経営者が確認したい3つのポイント

□ 手元の結果通知書の「審査基準日」を改正日と突き合わせる
直近の経営規模等評価結果通知書を取り出し、審査基準日が令和8年7月1日より前かどうかを確認します。確認は経理担当者だけで完結させず、申請を依頼している行政書士にも同じ書類で確かめてもらうと行き違いが防げます。

□ 令和8年7月改正で加点できる項目が自社にあるか洗い出す
「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言をしているか、不整地運搬車やアスファルト・フィニッシャを保有していないかを、別記様式3・様式9などの記載内容と現物・車検証で照合します。

□ 再審査を申し立てるかどうかを期限までに判断する
大臣許可なら地方整備局、愛知県知事許可なら愛知県というように、自社の許可行政庁の案内で申立期限・必要書類・受付方法を確認します。間に合わない場合は、次回の審査基準日に向けた準備へ切り替える判断も必要です。

よくある質問

Q. 公共工事を受注していない会社にも経審は関係ありますか。

A. 公共工事を直接請け負う予定がなければ受審義務はありません。ただ、経審の評点は元請会社や金融機関が取引先の状況をみる際の共通の物差しとしても使われています。将来の元請化や公共工事への参入を考えている場合は、評点の構成を把握しておくと判断材料になります。

Q. 再審査を申し立てると、かえって点数が下がることはありますか。

A. 改正に伴う再審査は改正後の基準で評価をやり直す手続きです。新設項目による加点だけでなく、廃止された項目や配点の変更が影響することもあります。申し立てる前に、許可行政庁の案内や行政書士への相談で見込みを確かめたうえで判断するのが安全とされています。

Q. 見直し議論の結論はいつ頃わかりますか。

A. 報道によると、国土交通省は2026年度内に評価制度のあり方についての方向性をまとめる考えを示しています。制度が変わる場合は審査基準の改正や様式の変更を伴うため、公表後に一定の準備期間が設けられるのが通例ですが、現時点で具体的な施行時期は示されていません。

まとめ

経審そのものを見直す議論は始まったばかりですが、足元では令和8年7月改正に伴う再審査の申立期限が10月下旬に迫っています。手元の結果通知書の審査基準日と、新しく加点できる項目の有無について、自社ではどうか確認してみてはいかがでしょうか。

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出典

本記事は建設業に関わる一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の保険会社または保険商品の推奨・勧誘を目的とするものではありません。制度・法令の内容は掲載時点のものです。実際の適用は個別の事情により異なりますので、詳細は所管官庁または専門家にご確認ください。当社の勧誘方針はこちらをご覧ください。

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