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経審のW点(社会性等)とは?加点項目一覧と令和8年7月改正の要点を解説

経審のW点(社会性等)とは

経審のW点とは、経営事項審査において「その他の審査項目(社会性等)」として評価される点数のことです。担い手の育成・確保、営業継続、防災活動への貢献、法令遵守、経理、研究開発、建設機械の保有、規格認証という8つの区分を数値化したもので、総合評定値(P点)の算式のうち0.15のウェイトを占めます。完成工事高や技術職員数と違い、W点は制度への加入や社内体制の整備といった「今から手を打てる項目」で構成されています。規模の大きくない会社ほど、W点は現実的にP点を動かせる部分になります。

なぜ重要なのか

P点は「P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W」で算出されます(愛知県「経営事項審査制度について」)。X1(完成工事高)やZ(技術力)は一朝一夕には伸びません。一方でW点は、建退共への加入、防災協定の締結、経理体制の整備といった手続きの積み重ねで積み上がります。

逆に、W点は減点も受ける項目です。建設業法第28条により指示処分や営業停止処分を受けた場合はW4(法令遵守の状況)で最大▲30点、民事再生法・会社更生法の適用があればW2で▲60点となります。処分歴がP点に跳ね返り、入札参加資格の格付けに影響する構造です。書類の作り方ひとつが後々の受注機会に響く点は、経営事項審査の虚偽記載で指名停止が相次いだ事例でも指摘されているとおりです。

対象となる範囲・条件

経営事項審査は、建設業法第27条の23に基づき、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査です。愛知県の解説によれば、請負代金の額が建築一式工事で1,500万円未満、その他の工事で500万円未満の工事などは対象から除かれます。審査基準日は、申請日の直前の事業年度終了の日(直前の決算日)です。

結果通知書は、審査基準日から起算して1年7か月後の日までの間、公共工事の受注について有効とされています。通知日ではなく審査基準日が起点になる点は誤解の多いところです。

W点の水準は、令和8年7月1日以降の申請について最高2,073点・最低▲788点と国土交通省の資料に示されています。W1〜W8の素点合計は最高237点・最低▲90点で、これを一定の係数で換算したものがW点です。手数料は、経営規模等評価申請が8,100円+審査対象業種1種類につき2,300円、総合評定値請求が400円+1業種につき200円とされています。

手続き・実務の流れ

流れは、①決算確定 → ②決算変更届の提出 → ③登録経営状況分析機関へ経営状況分析を申請 → ④許可行政庁へ経営規模等評価申請・総合評定値請求 → ⑤結果通知書の受領、という順序です。W点の資料は④で提出します。令和8年7月1日施行の改正(令和8年国土交通省告示第262号/令和8年2月6日公布)後の配点は次のとおりです。

区分内容最高/最低
W1担い手の育成及び確保に関する取組の状況77/0
W2建設業の営業継続の状況(営業年数・民事再生等)60/▲60
W3防災活動への貢献の状況(防災協定の締結)20/0
W4法令遵守の状況(指示処分・営業停止処分)0/▲30
W5建設業の経理の状況(監査の受審20・公認会計士等10)30/0
W6研究開発の状況25/0
W7建設機械の保有状況15/0
W8国又は国際標準化機構が定めた規格による認証・登録10/0

W1の内訳は、建退共の加入15点、退職一時金もしくは企業年金制度の導入15点、法定外労働災害補償制度の加入15点、若年の技術者・技能労働者の育成2点、知識・技術・技能の向上に関する取組10点、ワーク・ライフ・バランスに関する取組5点、就業履歴を蓄積するために必要な措置(CCUS)10点、自主宣言制度の宣言5点です。これらは審査基準日時点の加入・導入の有無で判定されます。

令和8年7月1日施行の改正で変わった3点

第一に、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無が新設され、5点の加点対象となりました。審査基準日が宣言日以降であり、宣言書と誓約書が提出されていることが要件です。同制度は令和7年12月12日から申請受付が始まっており、愛称は「職人いきいき宣言」です。あわせてCCUSの就業履歴蓄積措置の配点が見直され、民間工事を含む全工事で15点→10点、全公共工事で10点→5点となりました。

第二に、W7の加点対象機械に「不整地運搬車」と「アスファルト・フィニッシャ」が追加されました。令和6年能登半島地震での活用実績を踏まえた見直しと説明されています。台数に応じて最大15点(14台以上)で、審査基準日から1年7か月以上の使用期間が定められたリース契約による機械も対象です。

第三に、雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況に関する審査項目(各▲40点)が削除されました。令和2年10月1日以降の許可要件に社会保険加入が追加され、更新期間が5年であることから、令和7年10月1日以降に許可を保有する事業者は当然に加入している、という整理によるものです。改正建設業法の実務対応全般はこちらの記事で整理しています。

よくある誤解

「社会保険の項目がなくなったので、加入状況はもう関係ない」と思われがちですが、実際は逆です。社会保険加入は建設業許可そのものの要件であり、未加入であれば経審以前に許可の維持が問題になります。経審から消えたのは、許可要件として担保されるようになったからにすぎません。

「W点は加点だけの項目」と思われがちですが、実際は減点もあります。W2の民事再生法・会社更生法の適用(▲60点)とW4の法令遵守(▲30点)は、いずれもマイナス評価の項目です。

「結果通知書が届いた日から1年7か月使える」と思われがちですが、起点は審査基準日(決算日)です。決算から申請までに時間をかけるほど、実際に使える期間は短くなります。

経営者が確認したい3つのポイント

直近の結果通知書で、W点の内訳を項目別に確認する
「その他の審査項目(社会性等)」欄をW1〜W8の区分ごとに見て、0点の項目を経理担当者と洗い出します。0点の項目こそ、次回に向けて手を打てる部分です。

次回の審査基準日から逆算して、加入・宣言の期限を決める
建退共や自主宣言制度は審査基準日時点で加入・宣言済みであることが前提です。決算日から逆算した手続き期限を社内で共有します。

結果通知書の有効期限が切れる日を把握する
審査基準日から1年7か月後の日を確認し、公共工事の契約予定と突き合わせます。切れ目が生じそうなら申請時期の前倒しを検討します。

よくある質問

Q. W点だけを上げれば入札に有利になりますか

A. W点のP点に対するウェイトは0.15です。W点の改善はP点を押し上げる要素の一つですが、格付けや入札参加資格は発注機関ごとの主観的事項も含めて決まります。取り組みやすい部分ではあるものの、それだけで結果が決まるものではありません。

Q. 自主宣言制度の宣言はいつまでに行えばよいですか

A. 加点の要件は、審査基準日が宣言日以降であり、宣言書と誓約書が提出されていることとされています。したがって、次回の審査基準日(決算日)より前に宣言を済ませておく必要があります。申請は国土交通省のポータルサイトから行います。

Q. 建設機械はリースでも加点対象になりますか

A. 告示上、自ら所有する機械のほか、審査基準日から1年7か月以上の使用期間が定められたリース契約により使用する建設機械も対象とされています。短期のスポットリースは要件を満たさないため、契約期間の記載を確認してください。

Q. 公共工事を受注する予定がなくても経審は必要ですか

A. 経営事項審査は、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者に義務づけられた審査です。民間工事のみ、あるいは下請としてのみ施工する場合は必須ではありませんが、元請への転換を視野に入れるなら早めの準備が現実的です。

まとめ

W点は社会性等を評価する項目で、P点に0.15のウェイトで反映されます。令和8年7月1日施行の改正で、自主宣言制度の宣言が5点として新設され、建設機械の対象が拡大し、社会保険に関する審査項目が削除されました。結果通知書の有効期間は審査基準日から1年7か月です。次回の決算日を起点に、自社のW点で0点のままの項目がないか確認してみてはいかがでしょうか。法人リスクマネジメントの観点からも、処分歴や体制整備は事業の継続性に直結する論点です。

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出典

本記事は建設業に関わる一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の保険会社または保険商品の推奨・勧誘を目的とするものではありません。制度・法令の内容は掲載時点のものです。実際の適用は個別の事情により異なりますので、詳細は所管官庁または専門家にご確認ください。当社の勧誘方針はこちらをご覧ください。

建築現場でクレーンが架空電線に接触し感電事故──自社の電線近接作業の確認はできていますか

はじめに

報道によると、8月上旬、兵庫県姫路市の住宅新築工事現場で作業員2名が感電したとみられ、心肺停止の状態で搬送された後に死亡が確認されました。現時点で公表されている情報では、作業用クレーンのアームが上空の架空電線に接触していたとされています。

何が起きたのか

報道によると、現場では男性1名が金属製の足場にもたれて意識を失っており、様子を確認しようと近づいた別の男性も倒れたとされています。2人が倒れる直前に、作業用クレーンのアームが電線に触れていたとの情報があります。感電は、機械や足場を通じて電気が伝わり、直接触れていなくても被害が広がる場合があります。原因や責任の所在を現時点で断定できる状況ではありません。

中小建設会社への影響

架空電線への接触は、感電による人身被害だけでなく、断線による周辺の停電や設備の損傷といった第三者への影響につながる可能性があります。停電や損害が生じれば、近隣対応・賠償・工事の中断・信用の低下など経営面の負担も大きくなりかねません。日常的にクレーンや高所作業を行う会社ほど、電線との距離管理を現場任せにしていないか、改めて見直す価値があります。

経営者が確認したい3つのポイント

作業前の架空電線・高圧線の確認
現場周辺の電線の位置と種類(高圧か低圧か)を事前に把握し、作業計画に反映できているか。

クレーン・重機と電線の離隔距離の管理
電力会社への事前連絡、防護管(絶縁カバー)の設置、監視員の配置など、電線との距離を保つ手順が決まっているか。

感電時の対応手順の周知
感電した人に不用意に触れると二次被害が起きること、まず電源や接触の遮断と通報を行うことを、作業員に共有できているか。

まとめ

感電は一瞬で複数名に被害が及ぶことがあります。自社の電線近接作業の手順を、改めて確認してみてはいかがでしょうか。

経営事項審査の虚偽記載で指名停止が相次ぐ──自社の経審書類は実態どおりに作成できていますか

はじめに

現時点で公表されている情報では、2026年8月上旬、経営事項審査(経審)の申請にあたり工事経歴書や技術職員名簿に実態と異なる内容を記載していたなどとして、複数の建設業者が営業停止処分を受け、あわせて公共工事の指名停止措置の対象となったことが公表されています。入札参加資格の前提となる経審の信頼性が、改めて問われる事案です。

何が起きたのか

公表資料によると、対象となった業者は、経審の申請時に提出する工事経歴書や技術職員名簿について、実態と異なる内容を記載していたとされています。都道府県知事などから一定期間の営業停止処分を受け、その結果として各発注機関が指名停止措置を講じた形です。処分の詳しい経緯や個別の事情は現時点で公表されている範囲にとどまり、原因や背景を断定できる段階ではありません。ただし、経審の記載内容が入札資格の前提になっている点は共通しています。

中小建設会社への影響

経審は公共工事の入札参加資格を左右する制度であり、記載の誤りや実態との食い違いが、意図の有無にかかわらず処分につながりうる点に注意が必要です。指名停止や営業停止となれば、一定期間は公共工事を受注できず、売上の空白や進行中案件への影響に加え、取引先や金融機関からの信用低下といった経営面のリスクが生じます。書類作成を担当者任せにしている場合、経営者が気づかないうちにリスクを抱えてしまう可能性があります。

経営者が確認したい3つのポイント

工事経歴書は実際の施工実態と一致しているか
完成工事高や元請・下請の区分、工事内容が、契約書や工事台帳と突き合わせて確認できる状態になっているかを見直します。

技術職員名簿は在籍・資格の実態を反映しているか
名簿に載せている技術者が実際に在籍し、必要な資格や専任の要件を満たしているかを、定期的に点検しているかを確認します。

経審書類の作成・チェック体制が一人任せになっていないか
申請書類を作成担当者だけで完結させず、経営者や別の担当者が内容を確認する二重チェックの仕組みがあるかを見直します。

まとめ

経審は入札の入口であり、書類の正確さがそのまま経営の信頼につながります。自社の経審書類が実態どおりに作成・確認できているか、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。

工事車両が公道で死亡事故──自社の車両運行とドライバー管理は確認できていますか

はじめに

報道によると、2026年7月に福岡県内の国道で、ダンプカーが対向のトラックと正面衝突し、トラックの運転手が死亡する事故が起きました。現時点で公表されている情報では、事故の直前にダンプが逆走していたとの通報が複数あったとされています。

何が起きたのか

報道によると、朝の時間帯に幹線道路でダンプカーと準中型トラックが正面衝突し、トラックを運転していた男性が亡くなり、ダンプの運転手も軽いけがを負ったとされています。警察は逆走の可能性も含めて経緯を調べているとされ、原因や責任は現時点で確定していません。工事や運搬に使う大型車両が、現場の外である公道で第三者を巻き込む事故につながった一例です。

中小建設会社への影響

建設会社にとって、事故のリスクは現場の中だけにあるのではありません。ダンプやミキサー車、重機を運ぶ車両が公道を走る以上、第三者を死傷させれば、多額の賠償責任や刑事責任、取引先からの信用低下、車両の稼働停止による工程の遅れといった経営そのものへの打撃につながります。運転者の体調や長時間労働、車両整備の状態は、そのまま会社のリスクに直結します。

経営者が確認したい3つのポイント

運行前の点呼と体調確認の仕組みがあるか
ドライバーの体調・睡眠・アルコールの確認を、口頭だけでなく記録に残す運用になっているかを見直しましょう。

長時間労働・連続運転の管理ができているか
納期に追われて無理な運行計画になっていないか、休憩や交代のルールが実態に合っているかを確認します。

車両の始業前点検と整備記録が形だけになっていないか
ブレーキ・タイヤ・灯火などの点検が習慣として機能し、整備の履歴が残っているかを改めて点検しましょう。

まとめ

現場の安全と同じように、公道を走る自社車両の運行管理も経営を左右します。自社ではどうか、この機会に確認してみてはいかがでしょうか。

改正建設業法の実務対応が本格化──自社の見積り・工期は新ルールに沿っていますか

はじめに

現時点で公表されている情報では、2025年12月に全面施行された改正建設業法をめぐり、2026年は中小の建設会社でも実務対応が本格化する局面を迎えています。日々の見積りや契約の進め方に関わる新しいルールが加わっており、これまでのやり方の見直しが求められています。

何が起きたのか

改正では、著しく低い労務費による見積りや、無理に短い工期での契約が制限され、見積書に労務費の内訳を示すことなどが求められる方向とされています。あわせて、発注する側が不当な値下げや短工期を求める行為も対象に含まれると説明されています。従来の「安く・短く」を前提とした受注のやり方が、そのままでは通りにくくなる内容です。

中小建設会社への影響

影響として大きいのは、見積りと契約の実務を新しいルールに合わせて見直す必要が生じる点です。内訳の示し方や工期の考え方が従来のままだと、取引先との調整や書類の整備に手間がかかる場面が増えかねません。ルールに沿わない対応が続けば、指導や処分の対象となり、その後の受注や信用に影響が及ぶ可能性も指摘されています。

経営者が確認したい3つのポイント

見積書に労務費の内訳を示せる形になっているか
金額の総額だけでなく、労務費が分かる形で書き出せるか、自社の見積書の様式を確認しておきましょう。

提示・受注している工期に無理がないか
短すぎる工期は残業や安全面のしわ寄せにつながります。現場の実態に合った工期になっているか点検が必要です。

発注者・下請とのやり取りが書面で残っているか
値下げや工期の依頼を含め、条件のやり取りを書面やデータで残す運用になっているか確認しておくと安心です。

まとめ

制度の移行期は、日々の見積りや契約の中に見直しの余地が残りがちです。自社の実務が新しいルールに沿っているか、この機会に確認してみてはいかがでしょうか。

建設業の倒産が上半期で過去最多水準──自社の価格転嫁と資金繰りは確認できていますか

はじめに

報道によると、民間信用調査会社が公表した2026年上半期の調査で、建設業の倒産が半期ベースで過去最多の水準に達したことが明らかになりました。物価高や人件費の上昇を背景とした倒産が目立っており、中小の建設会社にとっても他人事ではない状況です。

何が起きたのか

現時点で公表されている情報では、資材価格の高騰を要因とする倒産が全体の約4割を占め、鋼材や木材、コンクリートなどの値上がりが経営を圧迫したとされています。加えて、若手の入職減少と職人の高齢化による人手不足、外注費や人件費の上昇も重なりました。特に木造建築の分野では、前年同期から倒産が大きく増えたと報じられています。

中小建設会社への影響

資材や人件費の上昇分を請負金額に反映できないまま工事を続ければ、受注が増えても利益が残らず、資金繰りが一気に苦しくなります。特に手持ち資金の薄い中小企業では、一つの現場の採算悪化や入金の遅れが経営全体を揺るがしかねません。価格転嫁の遅れは、じわじわと経営体力を削る要因になります。

経営者が確認したい3つのポイント

見積り時の原価と最新の実勢価格の差を把握しているか
資材費や労務費が見積り時からどれだけ上がっているかを工事ごとに確認し、差が大きい案件は早めに発注者と協議する。

価格転嫁や工期の協議を記録に残しているか
改正建設業法では無理な工期や不当な取引が問題視されます。値上げの交渉や工期の合意は、書面やメールで残しておく。

資金繰り表で数か月先の入出金を見通せているか
受注残があっても、入金までの資金が続くかは別問題です。数か月先までの資金繰りを定期的に更新し、早めに金融機関へ相談できる状態にしておく。

まとめ

倒産の増加は一部の企業だけの問題ではなく、業界全体の環境変化の表れです。自社の採算と資金繰りはどうか、この機会に確認してみてはいかがでしょうか。

工事中のガス管・地下埋設物の損傷事故──自社の事前確認と近隣対応は準備できていますか

はじめに

現時点で公表されている情報では、経済産業省は2026年3月、建設工事に伴うガス管の損傷事故を防ぐため、関係省庁や業界団体へ協力を呼びかけました。報道によると、過去5年間で工事に伴うガス管損傷は561件、負傷者は41名にのぼるとされています。

何が起きたのか

解体・改装・掘削・水道工事などの現場では、地中や壁の内側にあるガス管や水道管といった埋設物を、作業中に誤って傷つけてしまう事故が毎年一定数発生しています。ガスの噴出や漏水は、現場の外にいる通行人や近隣の建物・車両など、第三者へ被害が及ぶおそれがあります。背景として、事前の位置確認が十分でなかった例や、図面と実際の埋設状況が食い違っていた例が指摘されていますが、原因の断定は避けられています。

中小建設会社への影響

こうした埋設物の損傷は、労働災害とは別に、第三者への賠償責任という重い経営リスクにつながります。ガス漏れによる近隣避難や停電、断水が起きれば、工事の中断や工期の遅れは避けられず、対応の遅れはさらに損害を広げかねません。地域に根ざす中小建設会社にとっては、こうした事故が信用の低下に直結する点も見過ごせません。

経営者が確認したい3つのポイント

着工前の埋設物調査と事前照会
掘削や解体の前に、ガス・水道・電気などの埋設物の有無を関係事業者へ問い合わせる手順が、自社のルールとして定着しているか確認しましょう。

図面と現況の照合・試掘の実施
古い図面と実際の埋設状況がずれることは珍しくありません。必要に応じた試掘や事業者の立会いを、現場任せにせず標準化できているか見直しましょう。

損傷時の緊急連絡・応急対応フロー
万一損傷させた場合に、直ちに施工を止め、誰がどこへ連絡し近隣にどう対応するかを、現場の全員が把握できているか確認しましょう。

まとめ

地下の埋設物は目に見えず、事前の備えがそのまま第三者被害の防止につながります。自社の着工前確認と緊急時対応が整っているか、改めて確認してみてはいかがでしょうか。

前例のない工法で解体作業中に事故──自社の「初めての作業」はリスク評価できていますか

はじめに

報道によると、川崎市の製鉄所で今春に発生したクレーン解体工事中の転落事故で、行方不明となっていた作業員のものとみられる遺体が、2026年7月に現場付近の海中で発見されたと伝えられています。発生から3カ月を経てもなお影響が続く重大な事故であり、解体・重機作業を扱う建設会社にとって改めて考えさせられる出来事です。

何が起きたのか

現時点で公表されている情報では、事故は高所にあるクレーンの重り部分を解体する作業中に起き、作業員が高さ約35メートルから転落したとされています。報道では、現場の構造上の制約から、重りを地上に降ろさずに高所で削る、前例の少ない工法が採られていたと伝えられています。原因や責任の所在は調査中とされ、断定はできませんが、通常とは異なる作業手順であった点が注目されています。

中小建設会社への影響

解体や重機作業は、現場ごとに条件が異なり「前例のない作業」に直面する場面が少なくありません。こうした際、十分なリスク評価をしないまま作業を進めると、重大災害につながるおそれがあります。ひとたび事故が起きれば、人的被害に加え、工事の長期中断、発注者や地域からの信用低下、行政による調査対応など、経営面への影響は広範囲に及びます。規模の小さい会社ほど、その打撃は経営を揺るがしかねません。

経営者が確認したい3つのポイント

「初めての工法・作業」の事前確認ルールがあるか
過去に実績のない作業を行う際、着手前に危険性を洗い出し、経営層や現場責任者が内容を確認する仕組みが社内にあるかを見直しましょう。

高所・重量物作業の墜落防止措置は十分か
安全帯や足場、立入禁止範囲の設定など、高所で重量物を扱う作業の基本的な保護措置が実際に守られているかを現場で確認します。

元請・下請の役割分担と情報共有ができているか
誰がどこまで安全を管理するのか、作業手順や危険情報が関係者全員に共有されているかを、書面と現場の両面で点検しておきましょう。

まとめ

前例のない作業ほど、立ち止まって危険を見極める姿勢が問われます。自社の現場では「初めての作業」を安全に進める備えができているか、確認してみてはいかがでしょうか。

愛知県で建設業4社が営業停止に──自社の許可要件と法令順守は確認できていますか

はじめに

報道によると、愛知県は2026年7月3日付で、県内の建設業者4社に対し建設業法に基づく営業停止処分を行ったことを公表しました。現時点で公表されている情報では、いずれも一定期間、営業活動が制限されることになります。

何が起きたのか

建設業法は、都道府県知事などが建設業者に対し「指示」「営業停止」「許可の取消」といった監督処分を行えると定めています。今回公表されたのは営業停止で、対象期間中は新たな請負契約の締結や見積りといった営業活動が制限されます。個別の理由や事情を断定することはできませんが、監督処分は行政の公式サイトで社名とともに公表される点が特徴です。

中小建設会社への影響

営業停止は、期間中の受注機会を失うだけでなく、進行中の工事や元請・取引先との信頼関係にも影響します。処分内容は公表され、公共工事の指名停止につながることもあるため、信用低下という経営リスクが大きいのが実情です。とくに中小企業では、一時的な営業停止が資金繰りや従業員の雇用に直結しやすい点に注意が必要です。

経営者が確認したい3つのポイント

許可要件は今も満たされているか
経営業務の管理責任者や専任技術者が退職・異動などで欠けていないか、常勤性も含めて確認します。

契約・下請の手続きは適正か
無許可業者への発注や一括下請負になっていないか、契約書や見積りの手続きが法令どおりかを点検します。

各種届出を期限内に出せているか
変更届や決算変更届などの届出漏れは、思わぬ処分や許可更新の支障につながります。

まとめ

行政処分は決して他人事ではありません。自社の許可要件や日々の契約・届出の手続きが適正か、この機会に確認してみてはいかがでしょうか。

設備・機械の点検作業中に「挟まれ」死亡──自社の点検時の安全確認はできていますか

はじめに

報道によると、2026年7月11日、愛知県南知多町の会社倉庫で、搬送機械の点検作業をしていた男性が機械に挟まれて亡くなる事故が起きました。建設業でも重機やクレーン、仮設設備の点検・整備は日常的に行われており、決して他人事ではない事例です。

何が起きたのか

現時点で公表されている情報では、被災したのは外部から点検に訪れていた41歳の作業員で、スタッカークレーン(製品を運ぶ搬送機械)のワイヤー巻き取り部と足場の間の、わずか約15センチのすき間に上半身を挟まれたとされています。4人で点検にあたっていたとの報道もあります。原因や責任の所在は現在調査中で、断定はできません。

中小建設会社への影響

建設業では、自社の重機や仮設設備だけでなく、外部の点検業者や協力会社が自社の現場・敷地内で作業する場面が数多くあります。こうした場面で協力会社や第三者の作業員が被災すると、労働災害としての対応に加え、高額な賠償責任による経営状況悪化や信用の低下、工事の中断といった経営面のリスクにもつながりかねません。

経営者が確認したい3つのポイント

点検・整備時に機械を確実に止められているか
電源を切り、不意に動き出さない仕組み(ロックアウト)が徹底されているかを確認する。

外部業者が入る際に危険箇所を共有できているか
自社の設備を外部が点検する場合でも、すき間や挟まれのリスクを事前に伝え合えているか。

「はさまれ・巻き込まれ」の危険箇所を洗い出せているか
現場や倉庫のクレーン・搬送設備で、体が入るすき間や可動部を点検リスト化しているか。

まとめ

点検や整備は事故が起きにくいと思われがちですが、可動部のある機械には常に挟まれの危険があります。自社ではどうか、確認してみてはいかがでしょうか。

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